血圧が高いから、水中運動は無理。
そう思っていませんか?
今回は水中運動が高血圧の方に、
おすすめしたい運動であることと、
水中運動をする際の注意点を、
お話したいと思います。
多くの人に水中で運動する気持ち良さ。
効果を実感していただき、
快適な毎日を過ごしていただきたいと思います。
高血圧と水中運動
高血圧の治療を受けていて血圧が十分に下がらない患者は、
「水中エアロビクス」を行えば、血圧が正常値まで下がる可能性がある。
ブラジルのサンパウロ大学が行った研究で明らかになった。
高血圧の治療薬
高血圧の治療では、降圧薬の種類が増え、日常生活で積極的な血圧コントロールが行われるようになってきました。
しかし、適切な用量の降圧薬を3種類以上飲んでいても、血圧値が目標まで下がらない場合があります。
それが「治療抵抗性高血圧」で、高血圧患者の10〜30%を占めるとみられています。
サンパウロ大学が行った研究には、32人の治療抵抗性高血圧患者が参加しました。
参加者は、全員が治療抵抗性高血圧と診断され、
最高血圧(収縮期血圧)は140mmHg、最低血圧(拡張期血圧)は90mmHgよりも高い方々。
血圧コントロールの目標は120mmHg/80mmHgです。
参加者を2つのグループに分け、片方にはエアロバイクなどの通常の運動に取り組んでもらい、
もう片方には水中エアロビクスに取り組んでもらいました。
1回1時間の運動を、週に3回行いました。
実験は12週間にわたり行われ、参加者は期間中、降圧薬の服用を続けました。
その結果、水中エアロビクスに取り組んだ高血圧患者は、
平均して血圧が36mmHg/12mmHg下がっており、ほとんどが正常域に到達していました。
通常の運動を行ったグループでは、改善はみられませんでした。
アクアビクスがなぜいいの?
(1)運動に加えて、水圧が体にかかるので、血液の循環が良くなる。
(2)水の抵抗に逆らって歩くため、ゆっくり歩いても筋力と心肺機能を強化できる。
(3)水の浮力により、腰や膝などの関節への負担が減るので、体力が低下している人や高齢者、運動習慣のない人でも無理なく行える。
(4)水中で多くの熱が体から奪われるので、カロリー消費量が多くなる。余分な体脂肪を減らす効果を期待できる。
水中エアロビクスに取り組んだグループは、
〇ウォームアップ(5分)
〇水の抵抗を使った水中体操(20分)
〇中強度の水中ウォーキング(30分)
〇クールダウン(5分)
というローテーションで運動を続けました。
高血圧は、心臓病や脳卒中、腎臓病などの原因になります。
減塩や運動によって、血圧値を下げることができますが、充分に血圧が下がらない場合は、
薬物療法が開始されます。
降圧薬は一生飲み続ける必要があります。
「治療抵抗性高血圧のある患者さんに対しても、水中エアロビクスは効果的であることが確かめられました。
血圧を5mmHg下げただけでも、心臓病や脳卒中の危険性を最大で14%下げることができます」と、
英国心臓財団の心臓病専門看護師のドイルアン マドック氏は指摘しています。
「もちろん通常の高血圧のある患者さんにも、水中運動にチャレンジすることをお勧めしますが、
今回の研究では水中エアロビクスと高血圧の薬物療法と組み合わせることで効果が高いことが判明しました」と述べています。
膝や腰に負担をかけない
水中運動のメリットは、水の特性である「浮力・抵抗・水圧・水温」を利用して運動ができることです。
たとえば浮力があることで、水中に入ると体が軽くなります。
腰あたりの水位だと体重は約半分に、肩まで水につかると10分の1にまで軽減します。
また、水の抵抗があることで動きがゆるやかになり、膝関節や腰部に瞬間的に大きな負担がかかることがありません。
つまずいたり滑ったりしたときにも、体が水の抵抗を受けるので転倒の心配もありません。
浮力や抵抗を利用できる水の中は、足腰に不安のある方でも運動しやすい環境だといえます。
高血圧の方への注意点
プールの水温は水泳で27℃~水中運動で30℃が適温です。
どちらも体温よりずいぶん低い温度なので、
高血圧の方がいきなり水の中に入ると危険です。
まず、足先から徐々に水温に慣れてから入るようにしましょう。
(浅いプールがある場合はしばらく浅いところで歩いてからにします)
水中ウォーキングのような単純な運動でも、速度を少し速めるだけで水の抵抗が大きくなり、運動量がかなり増加します。
しかし、それに気付かないでいると、エネルギーの消耗が大きく、
プールサイドに上がったとき、どっと疲れを感じる状態になりかねません。
アクアサイズ教室では通常、30分間から1時間程度のメニューを組み、途中で何度か休憩をはさみます。
休憩ではお水を摂るようにしましょう。
運動は、休憩のときにあまり疲労を感じない程度を目安に行いましょう。
もし強い疲労感がある場合は、早めにスタッフに告げることです。
また、プールから急に出ると、一時的に脳貧血などでめまいを起こすこともあります。
階段を利用してゆっくり出るようにしましょう。
陸上で足腰にかかる負担も、
水中では浮力があるので、
杖をついて、やっと歩ける高齢者でも
水の中に入った瞬間、軽々と気持ちよく
運動されています。
毎日来られるお客様は、
理論的に理解していなくても
カラダでわかっているのです。
元気にプールで運動しているお客様を見ると、
嬉しくなります。