水中運動は低体力者でも、関節に痛みを感じている方でも、
無理なく運動でき、腰痛などの改善に効果がありますが、
水中運動によって得られない効果もあります。
水泳や水中歩行をする方はとても多く、
幅広い年代の方に支持を得ています。
しかし浮力を得て運動する水中運動には
デメリットもあるのです。
水中運動のデメリットについて理解していただいて、
これからのフィットネスライフに役立てて頂きたいと思います。
水中運動のメリット
低体力者や、高齢者でも簡単に行える水中運動。
その効果は無理なく運動でき、陸上よりも負担が少ないことです。
水圧の影響
水圧の影響は呼吸循環器系に対して顕著であり、陸上にいるときよりも、心臓・肺・胸郭内に還る血液量が増えます。
つまり、陸上で軽い運動を行うのと類似した現象となり、循環器にほどよい刺激を与えられます。
一方、運動習慣のない低体力者や高齢者のように呼吸筋の衰えが認められる方には、過負荷になる可能性があるため、
胸郭への水圧があまりかからない水位(胸部の下)くらいで運動を開始することがすすめられます。
水温がエネルギー消費量を増やす
水の熱伝導率は空気に比べて約23倍高いため、水中では体熱を奪われやすくなります。
したがって体温を維持するために筋活動やふるえによる熱産生など余計にエネルギーを消費するようになるため、
陸上と比較してエネルギーを使いやすい環境となります。そのため、長時間運動を行うのができない人でも、
エネルギー消費量を比較的簡単に増やすことができるメリットがあります。
体温より若干低い温度に保つことで、エネルギー消費を促進、循環機能の向上ができます。
体が、体温が低下するのを防ごうとするのでエネルギーが使われ、血液循環が促進!新陳代謝が活発になります。
浮力が関節への負担を軽減
一般的に、足から徐々に水に浸かり水位が高くなってくると、それに伴って浮力の影響で体重は軽くなります。
胸部くらいまで浸かると、地上での体重の約30%になると言われています。
そのため関節や筋肉にかかる力も小さくなり、腰痛や膝関節症を患っている方々のリハビリテーション、
あるいは肥満者への運動処方等に有効です。
調節できる抵抗
水の抵抗は速度の2乗に比例して大きくなりますが、ゆっくり動かせばほとんど感じることはありません。
ですから、水中では身体を動かすスピードによって運動している四肢への負荷を自ら調節できることになります。
この特性は、個人の体力・コンディションに合わせて行うべき運動処方やリハビリテーションには有効な手段です。
また筋力の衰えている高齢者に対しても無理なく筋力向上を目指すことも可能となります。
水中運動のデメリット
水中運動の効果についてご紹介しましたが、水中運動によって得られない効果もあります。
水の中では、浮力によって重力が少なくなる為、関節へ負担が軽減されます。
しかし、人間の身体を作る骨や筋肉は、重力に対抗することで強くなります。
特に骨は、骨に対して上から下(重力と同じ方向)に衝撃が加わることで強く形成されます。
浮力があり、重力が少ない水中では骨への衝撃もなく、強い骨が形成されにくくなります。
特に高齢者は、年齢と共に骨がもろくなりやすく「骨粗鬆症」になる確率も高くなります。
骨への負担が少ない一方、骨への刺激も少なくなってしまいます。
日常は陸上での生活がメインとなります。
水中運動で運動に慣れてきたら、少しずつ陸上での運動も取り入れていきましょう。
水中運動を続けると、筋肉がエネルギーとしてブドウ糖を取り込み、血糖値を下げることができます。
それだけでなくインスリンの働きがよくなり、すい臓への負担も少なくなります。
また、糖尿病の人には肥満が多いことからも、水中運動による肥満解消も糖尿病の予防や改善につながります。
高血圧の多くを占める本態性高血圧の場合も、食事のコントロールに加え、有酸素運動を行うことで改善効果がみられます。
有酸素運動を続けると、タウリンやプロスタグランジンEなどの血圧を下げる物質が増加し、
反対にカテコールアミンなどの血圧を上げる物質が減少することが知られています。
また、血圧を上昇させる原因のひとつに、ストレスがあります。
水中運動では、浮力によって重力から解放されることでリラクゼーション効果が生まれ、ストレスが軽減されます。
その結果、交感神経の緊張が緩和されると、血圧も低下します。
水中運動を安全に行う
水中ウォーキングのような単純な運動でも、速度を少し速めるだけで水の抵抗が大きくなり、運動量がかなり増加します。
しかし、それに気付かないでいると、エネルギーの消耗が大きく、プールサイドに上がったとき、どっと疲れを感じる状態になりかねません。
水中運動教室では通常、30分間から1時間程度のメニューを組み、途中で何度か休憩をはさみます。
運動は、休憩のときにあまり疲労を感じない程度を目安に行いましょう。
もし強い疲労感がある場合は、早めにスタッフに告げることです。
また、プールから急に出ると、一時的に脳貧血などでめまいを起こすこともあります。
階段を利用してゆっくり出るようにしましょう。
筋肉も、骨も、強くするためには負荷が必要。
両方大切ですから、
いつまでも自分の足で歩けるカラダづくりのためには、
陸上での運動もないがしろにできません。